特例事業承継質疑応答

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事業承継税制特集


◇ 事業承継税制は、円滑化法に基づく認定のもと、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。
 この事業承継税制には、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。

○ 法人版事業承継税制についてはこちらをご覧ください。

○ 個人版事業承継税制についてはこちらをご覧ください。

◇ なお、事業承継税制に関連する情報につきましては、中小企業庁ホームページ 【www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html】においてもご覧いただけますので、ぜひご利用ください。
 


 
⭐非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし⭐
0021005-083_01.pdf (nta.go.jp)
⭐資産課税課情報 第14号 令和2年7月7日 国税庁 資産課税課⭐
非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例措置等に関する質疑応答事例について
 
 
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目次<資産課税課情報|第20号|平成30年12月19日|国税庁 資産課税課>
《特例措置の概要等》
(問1)非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除に係る一般措置と特例措置との違い 
(問2)相続開始後の特例承継計画の提出 
(問3)特例措置の対象となる株式等の種類 
(問4)特例措置における雇用確保要件について 
(問5)一般措置と特例措置の適用関係(その1):一般措置の適用を受けている者が他の者から受る贈与 
(問6)一般措置と特例措置の適用関係(その2):一般措置の適用を受けている者が行う免除対象贈与
(問7)一般措置と特例措置の適用関係(その3):贈与者が死亡した場合
(問8)一般措置と特例措置の適用関係(その4):前の贈与者が死亡した場合
(問9)一般措置と特例措置の適用関係(その5):残株の贈与 
(問10)一般措置と特例措置の適用関係(その6):残株の相続
(問11)一般措置と特例措置の適用関係(その7):「特定受贈同族会社株式等・特定同族株式等
についての相続税の納税猶予の適用に関する届出書」を提出している場合

《非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例関係》 
(問 12)特例贈与者の要件(その1):複数の贈与者から1人の後継者への贈与の場合 
(問 13)特例贈与者の要件(その2):複数の贈与者から複数の後継者への贈与の場合
(問 14)特例贈与者の要件(その3):「既に贈与をしているもの」の意義 
(問 15)「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けるための期間 
(問 16)複数の者からの承継に係る経営承継期間 
(問 17)贈与株数等の要件の判定(その1):受贈者が1人の場合
(問 18)贈与株数等の要件の判定(その2):既に特例措置の適用を受けている者が贈与を受ける場合 
(問 19)贈与株数等の要件の判定(その3):議決権に制限のない株式以外の株式がある場合 
(問 20)贈与株数等の要件の判定(その4):特例認定贈与承継会社が自己株式を有する場合 
(問 21)贈与株数等の要件の判定(その5):受贈者が複数の場合 
(問 22)贈与株数等の要件の判定(その6):贈与の時期が異なる場合における特例贈与者の有する株式等の数 
(問 23)「贈与税の納税猶予の特例措置」に係る受贈者の数 
(問 24)会社が黄金株を発行している場合
(問 25)贈与税の納税猶予税額の計算(その1):暦年課税による場合 
(問 26)贈与税の納税猶予税額の計算(その2):相続時精算課税による場合 
(問 27)贈与税の納税猶予税額の計算(その3):複数の贈与者から暦年課税による贈与を受けた場合 
(問 28)贈与税の納税猶予税額の計算(その4):複数の贈与者から相続時精算課税による贈与を受けた場合 
(問 29)贈与税の納税猶予税額の計算(その5):暦年課税による贈与と相続時精算課税による贈与がある場合 
(問 30)贈与税の納税猶予税額の計算(その6):特例措置と一般措置の適用を受ける株式がある場合 
《非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例関係》 
(問 31)相続税の納税猶予の特例措置の適用を受けることができる相続の態様 
(問 32)特例経営承継相続人等の要件判定:特例認定承継会社の非上場株式等を相続等により取
得した者のうちに、特例措置の適用を受けない者がある場合 
(問 33)相続税の納税猶予税額の計算方法(その1):通常の場合 
(問 34)相続税の納税猶予税額の計算方法(その2):複数の特例認定承継会社の非上場株式等に
ついて適用を受ける場合 
(問 35)相続税の納税猶予税額の計算方法(その3):特例経営承継相続人等が複数ある場合
(問 36)相続税の納税猶予税額の計算方法(その4):特例措置と一般措置の適用がある場合 
《非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例関係》 
(問 37)適用期限の有無
《事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除関係》 
(問 38)差額免除等の概要
(問 39)差額免除の計算の具体例(その1):2分の1超の対価で譲渡した場合
(問 40)差額免除の計算の具体例(その2):2分の1以下の対価で譲渡した場合
(問 41)差額免除の計算の具体例(その3):2分の1超の対価で合併した場合 
(問 42)差額免除の計算の具体例(その4):2分の1以下の対価で合併した場合 
(問 43)差額免除の計算の具体例(その5):解散をした場合 
(問 44)利子税の計算
(問 45)事業の継続が困難な事由の概要 
(問 46)事業の継続が困難な事由の判定(その1):基準となる業種の判定 
(問 47)事業の継続が困難な事由の判定(その2):心身の故障等の事由による場合 
(問 48)差額免除の申請書が申請期限までに提出されない場合 
(問 49)2分の1以下の対価で譲渡等した場合の適用条項 
(問 50)差額免除と申請免除の適用関係 
(問 51)追加免除に係る雇用の確保
(問 52)特例対象受贈非上場株式等の譲渡等の判定(その1):差額免除の適用を受けない場合
(問 53)特例対象受贈非上場株式等の譲渡等の判定(その2):差額免除の適用を受ける場合
《相続時精算課税の特例関係》
(問 54)納税猶予分の贈与税額が算出されない場合 
(問 55)直系卑属以外の推定相続人が贈与を受ける場合 
《一般措置に係る改正関係》
(問 56)一般措置の改正の概要
(問 57)複数の者から贈与を受けた場合の雇用確保要件の判定(その1):通常の場合 
(問 58)複数の者から贈与を受けた場合の雇用確保要件の判定(その2):贈与者が死亡した場合
(問 59)贈与・相続の時点と贈与税・相続税の申告期限の先後関係が異なる場合の雇用確保要件の判定 
(問 60)経過措置関係(その1):旧法猶予適用者が受ける追加の贈与等 
(問 61)経過措置関係(その2):旧法猶予適用者が行う免除対象贈与
参考 → https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/181219/pdf/01.pdf

法人版事業承継税制


資産課税課情報|第20号|平成30年12月19日|国税庁 資産課税課

非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例措置等に関する質疑応答事例について(情報)
平成 30 年度税制改正において創設された非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及 び免除の特例措置等に関する質疑応答事例を取りまとめたので、執務の参考として送付する。
なお、質疑応答事例は、平成 30 年4月1日現在の法令に基づくものである。

 この情報の文中で用いている元号表示を西暦で表記すると以下のとおりとなる。
 平成 30 年…2018 年
 平成 31 年…2019 年(令和元年)
 平成 32 年…2020 年(令和2年)
 平成 33 年…2021 年(令和3年)
 平成 34 年…2022 年(令和4年)
 平成 35 年…2023 年(令和5年)
 平成 36 年…2024 年(令和6年)
 平成 39 年…2027 年(令和9年)
 平成 45 年…2033 年(令和15年)

 

(問1)非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除に係る一般措置と特例措置との違い
(問)平成 30 年度税制改正では、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に ついて、これまでの一般措置(措置法第 70 条の7から第 70 条の7の4までの措置をいう。 以下同じ。)に加え、新たに特例措置(措置法第 70 条の7の5から第 70 条の7の8までの措置をいう。以下同じ。)が講じられたが、制度上どのような違いがあるのか。
(答)
特例措置も納税の猶予という基本的な仕組みは一般措置と同様であるが、制度上、主として以下の表のような違いがある。
特例措置(注1) 一般措置(注2)
事前の
計画策定等
5年以内の特例承継計画の提出
平成30年4月 1日から
令和5年3月31日まで
不要
適用期限 10 年以内の贈与・相続等
平成30年 1月 1日から
令和9 年12月31日まで
なし
対象株数(注3) 全て(注3)  総株式数(注3)の最大3分の2まで
納税猶予割合 100% 相続: 80%、贈与:100%
承継パターン 複数の株主から最大3人の後継者 複数の株主から1人の後継者
雇用確保要件 弾力化
承継後5年間
平均8割の雇用維持が必要
事業の継続が困
難な事由が生じ
た場合の免除
 譲渡対価の額等に基づき再計算した
 猶予税額を納付し、従前の猶予税額と
 の差額を免除
なし
(猶予税額を納付)

(注)
1 特例措置に係る措置は以下のとおり。
イ 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(措置法 70 の7の5)
(以下「贈与税の納税猶予の特例措置」という。)
ロ 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(措置法 70 の7の6)
(以下「相続税の納税猶予の特例措置」という。)
非上場株式等の特例贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例(措置法 70 の7の7)
ニ 非上場株式等の特例贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除の特例(措置法 70 の7の8)
(以下「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例措置」という。)
2 一般措置に係る措置は以下のとおり。
イ 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除(措置法 70 の7)
(以下「贈与税の納税猶予の一般措置」という。)
ロ 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除(措置法 70 の7の2)
(以下「相続税の納税猶予の一 般措置」という。)
非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例(措置法 70 の7の3)
ニ 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除(措置法 70 の7の4)
(以下「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の一般措置」という。)
議決権に制限のない株式等に限る。

(解説)
1  概要
 平成 30 年度税制改正では、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除につい て、一般措置に加え、特例措置が新たに創設された。
この特例措置も、
@受贈者又は相続人若しく は受遺者(以下「相続人等」という。)が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以 下「円滑化法」という。)第 12 条第1項の規定に基づく都道府県知事の認定(以下「円滑化法認定」という。)を受けている非上場会社の株式又は出資(以下「株式等」という。)を贈与又は相続 若しくは遺贈(以下「相続等」という。)により取得した場合に、
Aその株式等に係る贈与税又は 相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、
B受贈者又は相続人等の死亡などの一 定の事由が生じたときは、その納税が猶予されている贈与税又は相続税の納付が免除されるという
基本的な仕組みについては、一般措置と同様である。
 ただし、以下のような制度上の違いが設けられている。

2 事前の計画策定等
 上記1のとおり、特例措置も一般措置もその適用の前提として円滑化法認定を受ける必要があるが、特例措置に関し円滑化法認定を受けるに当たっては、中小企業における経営の承継の円滑 化に関する法律施行規則(以下「円滑化省令」という。)第 16 条第1項に規定する特例承継計画 (以下「特例承継計画」という。)を都道府県知事に提出しその確認(円滑化省令 17@一。以下「特例承継計画の確認」という。)を受けていることがその要件とされている(円滑化省令6@十一等)。 なお、この特例承継計画については、平成 30 年4月1日から令和 5 年3月 31 日までに都道府県知事に提出し、その確認を受けなければならないこととされている(円滑化省令 17A)。
3 適用期限
 特例措置については、平成 30 年1月1日から令和 9 年 12 月 31 日までの贈与又は相続等によ る非上場株式等の取得が要件とされているが(措置法 70 の7の5@、70 の7の6@)、一般措置 にはこのような適用期限は設けられていない。 なお、「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例措置」(措置法 70 の7の8)は、「贈与税の納税猶予の特例措置」(措置法 70 の7の5)の適用を受けている者に係る贈与者が死亡した場合に相続税の納税を猶予するものであるが、この場合の贈与者の死亡については、適用期限は設けられていない(問 37 参照)。
(注)
  既に特例措置又は一般措置の適用を受けている者が、その適用に係る会社と同一の会社の非上場株式等を贈与又は相続等により取得する場合には、経営承継期間等の末日までに贈与税又は相続税の申告書の提出期限が到来するものが対象となる(問 15 参照)。
4 対象株数
 一般措置については、適用対象となる株式等の数について、会社の発行済株式又は出資(議決権に制限のない株式等に限る。)の総数又は総額の3分の2までという上限が設けられているが (措置法 70 の7@、70 の7の2@、70 の7の4@)、特例措置にはこのような上限はなく、会社の発行済株式又は出資(議決権に制限のない株式等に限る。)の全てが対象となる。
5 納税猶予割合
 一般措置については、その対象となる非上場株式等に対応する相続税の 80%(贈与税は 100%) が猶予されるが、特例措置については、相続税・贈与税ともその 100%が猶予される
6 承継パターン
 一般措置については、後継者は1人に限られるが(措置法 70 の7A三、70 の7の2A三)、特例措置については、最大3人の後継者が適用の対象となる(措置法 70 の7の5A六、70 の7の6 A七)。なお、贈与者及び被相続人については、いずれも1人に限られない
7 雇用確保要件
 一般措置については、承継後5年間平均で贈与時(相続時)の雇用の8割を維持することが納 税猶予の継続の要件(雇用確保要件)とされているが(措置法 70 の7B二、70 の7の2B二、70 の7の4B)、特例措置については、このような要件は設けられていない。 ただし、円滑化省令では、特例措置について雇用確保要件を満たすことができなかった場合に は、その理由等を記載した報告書を都道府県知事に提出し、その確認を受けなければならないこ ととされており(円滑化省令 20)、当該報告書の写し及び当該報告書に係る都道府県知事の確認書の写しは、特例措置に係る継続届出書に添付することとされている(措置法規則 23 の 12 の2N 六等)。 したがって、これらの書類の提出がない場合には、納税の猶予に係る期限が確定することとな るが(措置法 70 の7の5G等)、その提出があれば雇用の確保ができなかった場合でも納税の猶予が継続されることとなり、特例措置については雇用確保要件が「弾力化」されている。
8 事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除
 特例措置については、特例経営贈与承継期間等の経過後に、会社の事業の継続が困難な一定の事由が生じた場合に特例措置の適用に係る非上場株式等を譲渡等したときは、その対価の額(譲渡等 の時の価額の2分の1が下限となる。)を基に猶予税額を再計算し、その再計算した金額と一定の配当等の金額との合計額が当初の猶予税額を下回る場合には、その差額を免除するなどの措置が設けられているが(措置法 70 の7の5K〜R等)、一般措置には、このような免除措置はない。
 

(問2)相続開始後の特例承継計画の提出
(問)X株式会社の代表者である甲は、Aを後継者にしたいと考え、特例承継計画の策定に取り組んでいたが、その提出前の平成 31 年に死亡した。
  甲の死亡に係る遺産分割により、AはX株式会社の株式を取得することとなったが、甲の死亡前に特例承継計画を提出していないため、Aは「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできないのか。
(答)
Aは、所要の要件を満たすことで、「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができる
(解説)
1  「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けるためには、その会社につき、円滑化法認定を受ける必要があるが(措置法 70 の7の6A一)、円滑化省令では、その円滑化法認定の前提として、特例承継計画を都道府県知事に提出し、その確認を受けることを要件としている。
2  この特例承継計画については、円滑化省令において、平成 30 年4月1日から令和 5 年3月 31日までの間に提出することが必要とされているが(円滑化省令 17A)、相続開始前に提出することまでは、要件とされていない
3  したがって、特例承継計画の提出は、相続開始後であっても可能であり、当該特例承継計画につき都道府県知事の確認を受けるとともに、円滑化法の認定を受けた上で、相続税の申告書をその提出期限までに提出するなど、所要の要件を満たしたときは、Aは甲から取得したX株式会社の株式につき「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができることとなる。
(注)1 円滑化法認定を受けるためには、相続開始後8月以内に申請を行うことが必要とされている(円滑化省令7F)。
 2 特例承継計画を令和 5 年3月 31 日までに都道府県知事に提出する必要があることは、相続開始後に提出する場合であっても同様である。
4  なお、事後的な特例承継計画の提出が可能な点は、贈与の場合も同様である。

(問3)特例措置の対象となる株式等の種類
(問)甲は、X株式会社の株式の全てを有しているが、そのうちには、完全議決権株式(議決権に制限のない株式)のほか、一部制限株式(議決権を行使できる事項の一部について制限が
ある株式)と完全無議決権株式(議決権を行使できる事項の全部について制限がある株式)がある。
 甲はこれらの全てをAに贈与することを考えているが、この場合、Aはこれら株式の全てについて、「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができるか。
(答)
Aは、これらの株式のうち、
「完全議決権株式」についてのみ「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができ、
「一部制限株式」及び「完全無議決権株式」については、その適用を受けることができない

(解説)
1  「贈与税の納税猶予の特例措置」について規定する措置法第 70 条の7の5第1項は、納税猶予の対象となる贈与税について、「…特例贈与者が、特例経営承継受贈者に当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等の贈与…をした場合において…当該非上場株式等…に係る納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税」と規定しているところ、同項における「非上場株式等」は、議決権に制限のないものに限られている(措置法 70 の7の5@)。
(注) 対象となる株式等が議決権に制限のないものに限られるのは、他の特例措置(措置法 70 の7の6、70 の7の8)及び一般措置(措置法 70 の7、70 の7の2、70 の7の4)についても同様である。
2 したがって、Aが「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができる株式は、「議決権に制限のない株式」である完全議決権株式に限られることとなる。
3 なお、会社法第 466 条の規定に基づき定款を変更し、「一部制限株式」及び「完全無議決権株式」を「完全議決権株式」とした後において、これらの株式を贈与した場合には、当該株式は議決権に制限のない株式として、「贈与税の納税猶予の特例措置」の対象となる。
(参考)特例措置の適用要件の判定を行う場合の対象となる株式等の種類
 次の各規定による特例措置の適用要件の判定については、議決権に制限のない株式等のほか、一部制限株式等もその対象となる。
⑴ 特例経営承継受贈者の要件の判定に係る措置法第 70 条の7の5第2項第6号ハ及びニの「議決権の数」及び「総株主等議決権数」
⑵ 特例贈与者の要件の判定に係る措置法令第 40 条の8の5第1項第1号イ及びロの「議決権の数」及び「総株主等議決権数」
⑶ 特例認定贈与承継会社の要件の判定に係る措置法令第 40 条の8の5第8項において準用する措置法令第 40 条の8第9項の「総数又は総額」及び「数又は金額」
 

(問4)特例措置における雇用確保要件について
(問)特例措置においては、雇用の確保ができなかった場合に納税猶予の期限が確定することは、全くないのか。
(答)
特例措置においては、一般措置と同様の雇用確保要件は設けられていない
ただし、雇用の確保ができなかった場合に円滑化省令の規定に基づき都道府県知事に提出する報告書及び都道府県知事の確認書については、その写しを納税猶予の継続届出書に添付して提出することとされているため、その提出ができなかった場合には、納税猶予の期限が確定することとなる。
(解説)
1  特例措置では、納税猶予に係る期限の確定について一般措置の各規定を準用しているが、その規定からは、承継後5年間平均で贈与時(相続時)の雇用の8割を維持するという雇用の確保に関する確定事由(措置法 70 の7B二、70 の7の2B二、70 の7の4B)の規定が除かれている(措置法 70 の7の5B、70 の7の6B、70 の7の8B)。
  つまり、特例措置においては、一般措置と同様の雇用確保要件は設けられていない
2  ただし、特例措置は円滑化法認定をその前提としているところ、円滑化省令では、雇用確保要件を満たすことができなかった場合には、その理由を記載した報告書(注)を都道府県知事に提出し、その確認を受けなければならないこととされている(円滑化省令 20)。
(注) この報告書は、その理由について認定経営革新等支援機関の所見の記載があり、当該理由が経営状況の悪化である場合又は当該認定経営革新等支援機関が正当なものと認められないと判断したものである場合には、当該認定経営革新等支援機関による経営力向上に係る指導及び助言を受けた旨が記載されているものに限られる(円滑化省令 20B)。
3  そして、この報告書の写し及び当該報告書に係る都道府県知事の確認書の写しは、特例措置に係る継続届出書に添付することとされている(措置法規則 23 の 12 の2N六、23 の 12 の3N六、23 の 12 の5N)。
 したがって、これらの書類の提出がない場合には、納税の猶予に係る期限が確定することとなる(措置法 70 の7の5G、70 の7の6H、70 の7の8G)。
 

(問5)一般措置と特例措置の適用関係(その1):一般措置の適用を受けている者が他の者から受ける贈与
(問)Aは、父(甲)からX株式会社の株式の贈与を受け、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けているが、このたび、母(乙)からもX社株式の贈与を受けることとなった。
 Aは、乙からの贈与について「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができるか。
(答)
Aは、乙からの贈与について「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない
(解説)
1 「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用対象となる特例経営承継受贈者は、その会社の非上場株式等について「贈与税の納税猶予の一般措置」(措置法 70 の7@)、「相続税の納税猶予の一般措置」(措置法 70 の7の2@)又は「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の一般措置」(措置法 70 の7の4@)の適用を受けていないことが要件とされている(措置法 70 の7の5A六ト)。
2  したがって、X社株式について「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けているAは、乙からの贈与について「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない
3  なお、乙からの贈与が、経営贈与承継期間の末日までに贈与税の申告書(相続税法第 28 条第1項に規定する期限内申告書をいう。以下同じ。)の提出期限が到来する贈与である場合には、Aは所要の要件を満たすことで「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けることができる(問 56参照)。
(注)1 上記は、「相続税の納税猶予の一般措置」の適用を受けている経営承継相続人等が、その適用に係る会社の非上場株式等を贈与又は相続等により取得した場合も同様である(措置法 70 の7の6A七ホ)。
特例措置の適用を受けている者が、その適用に係る会社の非上場株式等を贈与又は相続等により取得した場合、その者は当該非上場株式等について一般措置の適用を受けることはできない(措置法 70 の7A三ト、70 の7の2A三ホ)
 

(問6)一般措置と特例措置の適用関係(その2):一般措置の適用を受けている者が行う免除対象贈与
(問)甲はX株式会社の株式の贈与を受け、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けていたが、このたび、経営贈与承継期間が経過したことから、後継者である乙に当該株式を贈与し、猶予税額の免除を受けた。
 この場合に贈与を受けた乙は、贈与者である甲が「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けているため、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用しか受けることができないのか。
(答)
乙は、甲からの贈与について
「贈与税の納税猶予の一般措置」又は
「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができる。

(解説)
1  「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けている経営承継受贈者は、経営贈与承継期間の末日の翌日以後に措置法第 70 条の7第1項の規定の適用を受ける対象受贈非上場株式等について一定の贈与(以下「免除対象贈与」という。)をした場合には、その贈与をした対象受贈非上場株式等に対応する贈与税の免除を受けることができる(措置法 70 の7N三)。
2  そして、この免除対象贈与は、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用に係る贈与だけでなく、「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用に係る贈与も対象とされている(同号)。
3  したがって、乙は所要の要件を満たすことで、甲からの贈与について「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることもできる。
4  なお、他の一般措置(措置法 70 の7の2、70 の7の4)の適用を受けている者が免除対象贈与を行う場合、また、特例措置(措置法 70 の7の5、70 の7の6、70 の7の8)の適用を受けている者が免除対象贈与を行う場合についても、上記と同様に、「贈与税の納税猶予の一般措置」又は「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用に係る贈与によることができる(措置法 70 の7の2O二、70 の7の4K、70 の7の5J、70 の7の6K、70 の7の8J)。
 

(問7)一般措置と特例措置の適用関係(その3):贈与者が死亡した場合
(問)乙は、甲からX株式会社の株式の贈与を受け、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けていたが、このたび甲が死亡した。
 当該株式については乙が甲から相続により取得したものとみなされることとなるが、この際、乙は甲に係る相続税について「贈与者が死亡した場合の相続税の特例措置」の適用を受けることができるか。
(答)
乙は、「贈与者が死亡した場合の相続税の特例措置」の適用を受けることはできない。
(解説)
1  「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けている経営承継受贈者に係る贈与者が死亡した場合、当該経営承継受贈者は、措置法第 70 条の7の3第1項の規定により、その適用に係る対象受贈非上場株式等を当該贈与者から相続(当該経営承継受贈者が当該贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈。以下問7において同じ。)により取得したものとみなされる。
2  他方、「贈与者が死亡した場合の相続税の特例措置」は、「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けている特例経営承継受贈者に係る贈与者が死亡した場合において、措置法第 70 条の7の7第1項の規定により相続により取得したものとみなされた特例対象受贈非上場株式等を、その対象としている(措置法 70 の7の8@)。
3  したがって、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けている乙は、「贈与者が死亡した場合の相続税の特例措置」の適用を受けることはできないこととなる。
4  なお、乙は、所要の要件を満たした場合には、「贈与者が死亡した場合の相続税の一般措置」の適用を受けることができる。
(注)「贈与者が死亡した場合の相続税の一般措置」は、措置法第 70 条の7第1項の規定の適用を受けている者に係る贈与者が死亡した場合において、措置法第 70 条の7の3第1項の規定により相続により取得したものとみなされた対象受贈非上場株式等を、その対象としている。
 

(問8)一般措置と特例措置の適用関係(その4):前の贈与者が死亡した場合
(問)次の事例において甲が死亡した場合、丙は甲に係る相続税について「贈与者が死亡した場 合の相続税の一般措置」と「贈与者が死亡した場合の相続税の特例措置」のいずれの適用を 受けることができるか。 〈事例〉 ×1年 甲(初代)は、乙(二代目)にX株式会社の株式を贈与し、乙は「贈与税の納税猶 予の一般措置」の適用を受けた。 ×11 年 乙は、丙(三代目)に、当該株式の全てを贈与し、猶予税額が免除された。 なお、丙は贈与により取得した株式につき「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用 を受けている。
(答)
丙は、「贈与者が死亡した場合の相続税の特例措置」の適用を受けることができる。
(解説)
1  「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けている特例経営承継受贈者に係る贈与者の贈与が免除対象贈与である場合において、当該贈与者の「前の贈与者」が死亡したときは、当該特例経営承継受贈者は、当該前の贈与者から特例対象受贈非上場株式等を相続(当該特例経営承継受贈者が当該前の贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈。以下問8において同じ。)により取得したものとみなされ(措置法 70 の7の7A)、その取得したものとみなされた特例対象受贈非上場株式等については、所要の要件を満たすことで、当該前の贈与者に係る相続税について「贈与者が死亡した場合の相続税の特例措置」の適用を受けることができる(措置法 70 の7の8@)。
2  これは、「前の贈与者」が行った贈与が、「贈与税の納税猶予の一般措置」であるか「贈与税の納税猶予の特例措置」であるかを問わず、同様である。
3  したがって、「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けている丙は、「前の贈与者」である甲が行った贈与が「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用に係るものである場合でも、甲に係る相続税について「贈与者が死亡した場合の相続税の特例措置」の適用を受けることができる。
4  なお、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けている者については、前の贈与者が行った贈与が「贈与税の納税猶予の特例措置」であったとしても、当該前の贈与者の死亡に係る相続税について適用を受けることができるのは、「贈与者が死亡した場合の相続税の一般措置」となる(措置法 70 の7の3A、70 の7の4@)。
(注)「前の贈与者」とは、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれに定める者に(特例)対象受贈非上場株式等に係る(特例)認定贈与承継会社の非上場株式等の贈与をした者をいう(措置法 70 の7の3A、70 の7の7A)。
イ  贈与者に対する措置法第 70 条の7第1項又は第 70 条の7の5第1項の規定の適用に係る贈与が、免除対象贈与である場合 (特例)対象受贈非上場株式等に係る(特例)認定贈与承継会社の非上場株式等の免除対象贈与をした者のうち最初に措置法第 70 条の7第1項又は第 70 条の7の5第1項の規定の適用を受けた者
ロ  イに掲げる場合以外の場合  贈与者
 

(問9)一般措置と特例措置の適用関係(その5):残株の贈与
(問)甲は、X株式会社の全株式(全て議決権に制限のない株式に該当する。)を有していたところ、そのうちの3分の2を乙(子)に贈与し、乙は「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けている。
 甲が残り3分の1のX株式会社の株式を、@乙に贈与した場合、又はA丙(子)に贈与をした場合に、乙又は丙は「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができるか。
(注) 一般措置の対象となる株式等については、発行済株式等の総数又は総額の3分の2までという上限がある。
(答)
いずれの場合も「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない
(解説)
1  乙が贈与を受けた場合
⑴ 「贈与税の納税猶予の特例措置」に係る特例経営承継受贈者については、特例認定贈与承継会社の非上場株式等について、「贈与税の納税猶予の一般措置」、「相続税の納税猶予の一般措置」又は「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の一般措置」の適用を受けていないことが、その要件の一つとされている(措置法 70 の7の5A六ト)。
⑵ 問の事例の乙は、X株式会社の株式につき「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けているため、甲から贈与されたX株式会社の株式について「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない。
(注) 「贈与税の納税猶予の一般措置」については、認定贈与承継会社の非上場株式等について、既にその適用に係る贈与をしている者は、その対象となる贈与者から除かれているため、乙は、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けることもできない
2  丙が贈与を受けた場合
⑴ 丙は、乙と異なり、X株式会社の非上場株式等について「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けていないことから、上記1の場合には、該当しない。
 ただし、「贈与税の納税猶予の特例措置」に係る特例贈与者については、贈与の直前において、その有する特例認定贈与承継会社の非上場株式等に係る議決権の数が、その者と特別の関係がある者(当該特例認定贈与承継会社の特例経営承継受贈者となる者を除く。)のうち、いずれの者が有する当該非上場株式等に係る議決権の数をも下回らないことがその要件の一つとされている(措置法 70 の7の5@、措置法令 40 の8の5@一ロ)。
⑵ 問の事例では、乙がX株式会社の議決権の3分の2を有しており、甲の有する議決権の3分の1を上回るため、甲は特例贈与者の要件を満たさず、丙は甲から贈与されたX株式会社の株式について「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない。
 (注) 上記1⑵の(注)のとおり、丙も「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けることはできない。 

(問10)一般措置と特例措置の適用関係(その6):残株の相続
(問)甲は、X株式会社の全株式(全て議決権に制限のない株式に該当する。)を有していたところ、そのうちの3分の2を乙(子)に贈与し、乙は「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けている。
 このたび甲が死亡したが、残り3分の1のX株式会社の株式を、@乙が相続した場合、又はA丙(子)が相続した場合に、乙又は丙は「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができるか。
(注) 一般措置の対象となる株式等については、発行済株式等の総数又は総額の3分の2までという上限がある。
(答)
いずれの場合も「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない。
(解説)
1  乙が相続した場合
⑴ 「相続税の納税猶予の特例措置」に係る特例経営承継相続人等については、特例認定承継会社の非上場株式等について、「贈与税の納税猶予の一般措置」、「相続税の納税猶予の一般措置」又は「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の一般措置」の適用を受けていないことが、その要件の一つとされている(措置法 70 の7の6A七ホ)。
⑵ 問の事例の乙は、X株式会社の株式につき「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けているため、甲から相続したX株式会社の株式について「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない。
⑶ なお、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けているX株式会社の株式については、甲が乙から相続により取得したものとみなされるが(措置法 70 の7の3@)、所要の要件を満たすことで、「贈与者が死亡した場合の相続税の一般措置」の適用を受けることができる。
(注) 乙が「贈与者が死亡した場合の相続税の一般措置」の適用を受ける場合には、乙は、甲から相続により取得するX株式会社の株式について「相続税の納税猶予の一般措置」の適用を受けることはできない(措置法 70 の7の4E)。
2 丙が相続した場合
⑴ 丙は、乙と異なり、X株式会社の非上場株式等について「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けていないことから、上記1⑴の場合には、該当しない。
 ただし、「相続税の納税猶予の特例措置」に係る特例被相続人については、相続の開始の直前において、その有する特例認定承継会社の非上場株式等に係る議決権の数が、その者と特別の関係がある者(当該特例認定承継会社の特例経営承継相続人等となる者を除く。)のうち、いずれの者が有する当該非上場株式等に係る議決権の数をも下回らないこと、がその要件の一つとされている(措置法 70 の7の6@、措置法令 40 の8の6@一ロ)。
⑵ 問の事例では、乙がX株式会社の議決権の3分の2を有しており、甲の有する議決権の3分の1を上回るため、甲は特例被相続人の要件を満たさず、丙は甲から相続により取得したX株式会社の株式について「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない。
 (注) 「相続税の納税猶予の一般措置」に係る被相続人についても、上記2⑴と同様の要件があるため(措置法70 の7の2@、措置法令 40 の8の2@一ロ)、丙はその適用を受けることもできない。
 

  (問11)一般措置と特例措置の適用関係(その7):「特定受贈同族会社株式等・特定同族株式等についての相続税の納税猶予の適用に関する届出書」を提出している場合
(問)Aは、平成 20 年に、甲から相続時精算課税に係る贈与により甲株式会社の株式(特定受贈同族会社株式等に該当する。)を取得した。
 その後、平成 21 年度税制改正により納税猶予の一般措置が創設されたことから、甲の死亡の際には、その適用を受けたいと考え、当該株式につき、「特定受贈同族会社株式等・特定同族株式等についての相続税の納税猶予の適用に関する届出書」を平成 22 年3月 31 日までに税務署長に提出している。
  このたび、甲が死亡したが、Aは甲の死亡に係る相続税について、「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができるか。
 なお、Aは、所得税法等の一部を改正する法律(平成 21 年法律第 13 号。以下「平成 21 年改正法」という。)附則第 64 条第2項に掲げるすべての要件を満たしている。
(答)
Aは、甲の相続につき「相続税の納税猶予の一般措置」の適用のみ可能であり、
「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない。
(解説)
1  納税猶予の一般措置は、平成 21 年度税制改正により創設されたものであるが、その際、経過措置として、平成 20 年 12 月 31 日以前に相続時精算課税の適用に係る贈与により取得した次の株式等については、平成 22 年3月 31 日までに「特定受贈同族会社株式等・特定同族株式等についての相続税の納税猶予の適用に関する届出書」を提出するなど、一定の要件を満たす場合には、当該贈与者の死亡に係る相続税について、「相続税の納税猶予の一般措置」の適用を受けることができることとされている(平成 21 年改正法附則 64AF)
@ 平成 21 年改正前の措置法第 69 条の5第2項第8号に規定する「特定受贈同族会社株式等」
A 平成 21 年改正前の措置法第 70 条の7の3第3項第2号に規定する「特定同族株式等」
2  ただし、上記1のとおり、平成 21 年改正法附則第 64 条第2項及び第7項は、「租税特別措置法第 70 条の7の2第1項の適用を受けることができる」と規定していることから、Aが、届出書の提出等を行っていたとしても、「相続税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることはできない。


 
 《省略用語例等》
1 この情報において使用した省略用語は、それぞれ次に掲げる法令を示す。
措置法……………租税特別措置法(昭和 32 年法律第 26 号)
措置法令…………租税特別措置法施行令(昭和 32 年政令第 43 号)
措置法規則………租税特別措置法施行規則(昭和 32 年大蔵省令第 15 号)
措置通……………租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて(法令解釈通達)
       (昭和 50 年 11 月4日付直資2−224 ほか2課共同)

2 この情報における次の表の左欄の用語の意義は、それぞれ同表の右欄の措置法の規定に規定するところによる。 
用 語 規 定
対象受贈非上場株式等  措置法第 70 条の7第1項
認定贈与承継会社  措置法第 70 条の7第2項第1号
経営承継受贈者  措置法第 70 条の7第2項第3号
経営贈与承継期間  措置法第 70 条の7第2項第6号
対象非上場株式等  措置法第 70 条の7の2第1項
認定承継会社  措置法第 70 条の7の2第2項第1号
経営承継相続人等  措置法第 70 条の7の2第2項第3号
経営承継期間  措置法第 70 条の7の2第2項第6号
対象相続非上場株式等  措置法第 70 条の7の4第1項
認定相続承継会社  措置法第 70 条の7の4第2項第1号
経営相続承継受贈者  措置法第 70 条の7の4第2項第3号
経営相続承継期間  措置法第 70 条の7の4第2項第5号
特例対象受贈非上場株式等  措置法第 70 条の7の5第1項
特例認定贈与承継会社  措置法第 70 条の7の5第2項第1号
特例経営承継受贈者  措置法第 70 条の7の5第2項第6号
特例経営贈与承継期間  措置法第 70 条の7の5第2項第7号
特例対象非上場株式等  措置法第 70 条の7の6第1項
特例認定承継会社  措置法第 70 条の7の6第2項第1号
特例経営承継相続人等  措置法第 70 条の7の6第2項第7号
特例経営承継期間  措置法第 70 条の7の6第2項第6号
特例対象相続非上場株式等  措置法第 70 条の7の8第1項
特例認定相続承継会社  措置法第 70 条の7の8第2項第2号
特例経営相続承継受贈者  措置法第 70 条の7の8第2項第1号
特例経営相続承継期間  措置法第 70 条の7の8第2項第5号


以下、省略
参考 → https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/181219/pdf/01.pdf
 

(問 25)贈与税の納税猶予税額の計算(その1):暦年課税による場合
(問)Aは、父から次の資産の贈与を受けた。Aが当該株式につき「贈与税の納税猶予の特例措置」 の適用を受ける場合、納税猶予分の贈与税額(猶予税額)等はどのようになるか。
 なお、Aは×1年1月1日において 20 歳以上であるため、特例税率(措置法 70 の2の5)の適用を受ける。
【取得をした資産の内訳等】
・現金:       500 万円
・X株式会社の株式:3,000 万円
(答)
猶予税額は 1,035.5 万円、
申告期限までに納付すべき税額は 244.5 万円となる。
(解説)
1 「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用に係る特例対象受贈非上場株式等が暦年課税の適用に 係るものである場合には、その年中にその者が贈与により取得した全ての財産に係る贈与税額のうち、措置法第 70 条の7の5第2項第8号イの規定に基づき当該特例対象受贈非上場株式等の価 額をその年分の贈与税の課税価格とみなして計算した金額が納税猶予分の贈与税額となり、その納税が猶予されることとなる。
2 したがって、問の事例では、次のとおりとなる。
⑴ その年中に取得した全ての財産に係る贈与税の額
   現金   X株式    基礎控除額
{(500 万円+3,000 万円)− 110 万円 }× 50% − 415 万円 = 1,280 万円
⑵ X株式に係る納税猶予分の贈与税額
   X株式  基礎控除額
(3,000 万円 − 110 万円 )× 45% − 265 万円 = 1,035.5 万円
⑶ 申告期限までに納付すべき税額
⑴ − ⑵ = 244.5 万円 (参考)
納税が猶予される贈与税などの計算方法
(暦年課税の場合のイメージ)略




 

(問 26)贈与税の納税猶予税額の計算(その2):相続時精算課税による場合
(問)Aは父から次の資産の贈与を受けた。Aが当該株式につき「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受ける場合、納税猶予分の贈与税額(猶予税額)等はどのようになるか。 なお、Aは過去に父から贈与により取得した財産につき相続時精算課税の適用を受けている。
【取得をした資産の内訳等】
・現金:       500 万円
・X株式会社の株式: 3,000 万円
・過去の年分の申告において控除した相続時精算課税特別控除額の合計額:1,500 万円
(答)
猶予税額は 400 万円、
申告期限までに納付すべき税額は 100 万円となる。
(解説)
1 「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用に係る特例対象受贈非上場株式等が相続時精算課税の 適用を受けるものである場合には、その年中に相続税法第 21 条の9第5項に規定する特定贈与者 から贈与により取得した全ての財産に係る贈与税額のうち、措置法第 70 条の7の5第2項第8号 ロの規定に基づき当該特例対象受贈非上場株式等の価額をその年分の贈与税の課税価格とみなし て計算した金額が納税猶予分の贈与税額となり、その納税が猶予されることとなる。
2 したがって、問の事例では、次のとおりとなる。
⑴ 父(特定贈与者)から取得した全ての財産に係る贈与税の額
  X株式    現金     特別控除額
{3,000 万円+500 万円−(2,500 万円−1,500 万円)}×20% = 500 万円
⑵X株式に係る納税猶予分の贈与税額
  X株式      特別控除額
{3,000 万円−(2,500 万円−1,500 万円)}× 20% = 400 万円
⑶ 申告期限までに納付すべき税額
⑴ − ⑵ = 100 万円
 
《相続時精算課税の特例関係》

(問 54)納税猶予分の贈与税額が算出されない場合
(問)Aは、叔父である甲からX株式会社の株式の贈与を受けたが、当該株式の価額は 2,000 万円 である。
  Aは当該贈与について、措置法第 70 条の2の7第1項の規定に基づき相続時精算課税制度 を選択することができるか。
(答)
Aは、相続時精算課税制度を選択することができない。
(解説)
1 相続時精算課税適用者に係る特例である措置法第 70 条の2の7第1項は、その適用を受けることができる者について「贈与により第 70 条の7の5第1項の規定の適用に係る特例対象受贈非上 場株式等・・・を取得した同条第1項の規定の適用を受ける特例経営承継受贈者」と規定している。 つまり、措置法第 70 条の2の7第1項の規定は、措置法第 70 条の7の5第1項の規定の適用を受けることが前提とされているものである。
2 問の事例の場合、Aが贈与により取得した株式の価額(2,000 万円)は相続時精算課税の特別控除額(2,500 万円)以下であり、相続時精算課税制度の適用を受けたものとして計算した場合の納 税猶予分の贈与税額は「ゼロ」となり、猶予される税額は算出されないことから、Aは措置法第 70 条の7の5第1項の規定の適用を受けることはなく、したがって、措置法第 70 条の2の7第1 項の規定の適用を受けることができないこととなる。
3 なお、Aは、措置法第 70 条の2の7第1項の規定による相続時精算課税の適用を受けることができないだけであり、暦年課税により計算した納税猶予分の贈与税額が算出される場合には、所要の要件を満たすことで措置法第 70 条の7の5第1項の規定の適用を受けることができる。

一般措置



《一般措置に係る改正関係》

(問 56)一般措置の改正の概要
(問)平成 30 年度税制改正では、一般措置についてどのような改正が行われたのか。
(答)
 一般措置に関する平成 30 年度税制改正による主な改正は、次のとおりである。
1 適用対象となる贈与者及び被相続人の要件等の改正
 平成 30 年度税制改正では、一般措置に係る贈与者又は被相続人の要件が改正され、複数の者からの贈与又は相続についても一般措置の適用が可能とされた(措置法令 40 の8@、40 の8の2 @)。
 具体的には、
@ その会社の非上場株式等について最初に一般措置の適用に係る贈与又は相続等を受ける場合には、従前の要件(注)と同様であるが、
A その贈与又は相続等の後に当該会社の非上場株式等につき他の贈与者又は被相続人から贈与 又は相続等を受ける場合には、当該他の贈与者又は被相続人の要件は、その会社の非上場株式 等を有していた個人(贈与の場合には、これに加え、その贈与の時において当該認定贈与承継 会社の代表権を有していないもの)とされた。
(注) 「贈与税の納税猶予の一般措置」に係る従前の要件は、贈与の時前において認定贈与承継会社の代表権を有 していた個人で、次に掲げる要件の全てを満たすものである。
イ 当該贈与の直前(当該個人が当該贈与の直前において当該認定贈与承継会社の代表権を有しない場合には、 当該個人が当該代表権を有していた期間内のいずれかの時及び当該贈与の直前)において、当該個人及び当 該個人と特別の関係がある者の有する当該認定贈与承継会社の非上場株式等に係る議決権の数の合計が、当該認定贈与承継会社の総株主等議決権数の 100 分の 50 を超える数であること。
ロ 当該贈与の直前(当該個人が当該贈与の直前において当該認定贈与承継会社の代表権を有しない場合には、 当該個人が当該代表権を有していた期間内のいずれかの時及び当該贈与の直前)において、当該個人が有す る当該認定贈与承継会社の非上場株式等に係る議決権の数が、当該個人と特別の関係がある者(当該認定贈 与承継会社の経営承継受贈者となる者を除く。)のうちいずれの者が有する当該非上場株式等に係る議決権の数をも下回らないこと。
ハ 当該贈与の時において、当該個人が当該認定贈与承継会社の代表権を有していないこと。
  なお、同一の会社の非上場株式等について他の者から追加で贈与又は相続等を受けるもの(上記A)については、特例措置と同様、経営(贈与)承継期間の末日までに贈与税又は相続税の申告 書の提出期限が到来するものに限られている(措置法 70 の7@、70 の7の2@)。
(注) 経営(贈与)承継期間の意義については、問 16 の解説参照。
2 特例措置の創設に伴う改正
一般措置の適用を受ける者の要件について、その会社の非上場株式等について特例措置の適用を受けていないことが追加された(措置法 70 の7A三ト、70 の7の2A三ホ)。
 ⑵ 一般措置の適用を受けている者が行う免除対象贈与について、特例措置の適用に係る贈与が追加された(措置法 70 の7N三、70 の7の2O二、70 の7の4J)。
 

(問 57)複数の者から贈与を受けた場合の雇用確保要件の判定(その1):通常の場合
(問)Aは、×1年 10 月1日に甲からX株式会社の株式を贈与され「贈与税の納税猶予の一般措 置」の適用を受けた後、×4年6月1日に乙からもX株式会社の株式を贈与され、「贈与税の 納税猶予の一般措置」の適用を受けている。
 この場合における「雇用確保要件」の判定について、@判定時点、A判定の基礎となる常時 使用従業員数、B判定の基礎となる従業員数確認期間はどのようになるのか。
(答)
 甲・乙いずれの者から受けた贈与についても、次のとおりとなる。
@ ×7年3月 15 日
A 甲の贈与時(×1年 10 月1日)における常時使用従業員数
B ×2年3月 16 日から×7年3月 15 日まで
(解説)
1 「贈与税の納税猶予の一般措置」では、事業の承継後5年間平均で贈与時の雇用の8割を維持 することが納税猶予の継続の要件(以下「雇用確保要件」という。)とされている(措置法 70 の 7B二)。
2 平成 30 年度税制改正により、複数の者からの非上場株式等の贈与又は相続等について一般措置の適用が可能とされたが、この改正に伴い、この雇用確保要件の判定については、従業員数確認期間の末日において、従業員数確認期間内にある各基準日における認定贈与承継会社の常時使用 従業員の数の合計を従業員数確認期間内にある基準日の数で除して計算した数が、経営承継受贈 者が受けた最初の贈与の時(対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の非上場株式等について、当該贈与の時前に一般措置の適用に係る相続等により当該非上場株式等の取得をしている場合には、最初の相続の開始の時)における常時使用従業員の数に 100 分の 80 を乗じて計算した数を下回る数となるかどうかで行うこととされた(措置法 70 の7B二、措置法令 40 の8㉓)。
3 そして、「従業員数確認期間」とは、認定贈与承継会社の非上場株式等について一般措置の適用 を受けるために提出する最初の贈与税の申告書又は相続税の申告書の提出期限の翌日から同日以 後5年を経過する日(当該経営承継受贈者又は当該経営承継受贈者に係る贈与者が同日までに死亡した場合には、その死亡の日の前日)までの期間をいい、「基準日」とは、その提出期限の翌日 から1年を経過するごとの日をいうこととされている(措置法 70 の7B二)。
(注)
上記は「相続税の納税猶予の一般措置」及び「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の一般措置」につ いても同様である(措置法 70 の7の2B二、70 の7の4B)。
4 したがって、同一の会社の非上場株式等を、複数の者から異なる時期に、贈与又は相続等によ り取得し、それぞれ一般措置の適用を受けた場合であっても、雇用確保要件の判定は別々に行う ことなく、原則として、同一の基準でもってその判定を行うこととなる。
(注)
 贈与者が上記3の5年を経過する日までに死亡した場合の取扱いについては、問 58 を参照。
5 問の事例では、×1年 10 月1日に、X株式会社の株式について一般措置の適用に係る「最初」 の贈与を受けていることから、雇用確保要件の判定に当たっては、同日における常時使用従業員数を基礎とすることとなる。 また、従業員数確認期間については、最初の贈与に係る贈与税の申告期限(×2年3月 15 日) の翌日から同日以後5年を経過する日となることから、具体的には、×2年3月 16 日から×7年 3月 15 日までとなり、その末日において、雇用確保要件の判定が行われることとなる。


 

(問 60)経過措置関係(その1):旧法猶予適用者が受ける追加の贈与等
(問)甲は、平成 27 年に、父からX株式会社の株式の贈与を受け、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けているが、母から次のとおりX株式会社の株式の贈与を受けた場合には、当該贈与につき「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けることができるか。
 なお、母はX株式会社の代表権を有したことはない。
@ 平成 31 年(2019年令和元年)に贈与を受ける場合
A 平成 33 年(2021年令和3年)に贈与を受ける場合
(注)母から贈与を受けた場合でも、甲の有するX株式会社の株式は、X株式会社の発行済株 式の総数の3分の2以下である。
(答)
  @の場合には、Aは、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けることができる。
(解説)
1 問 56 のとおり、平成 30 年度税制改正では、一般措置に係る贈与者又は被相続人の要件が改正 され、複数の者からの贈与又は相続についても一般措置の適用が可能とされた(措置法令 40 の8 @、40 の8の2@)。
2 この改正は、平成 30 年1月1日以後に贈与又は相続等により取得する非上場株式等について適用されるが(所得税法等の一部を改正する法律(平成 30 年法律第7号。以下「平成 30 年改正法」 という。)附則 118S㉒㉔)、平成 29 年 12 月 31 日以前の贈与又は相続等により取得した非上場株 式等につき一般措置の適用を受けた者についても、原則として、適用することとされている(平成 30 年改正法附則 118㉑㉓㉕)。
 したがって、既に、ある会社の非上場株式等について一般措置の適用を受けている者が、その 会社の非上場株式等を他の者から贈与又は相続等により取得した場合であっても、それが、経営 (贈与)承継期間の末日までに贈与税又は相続税の申告書の提出期限が到来するものであれば、 一般措置の適用を受けることができることとなる。
3 問の事例の甲は、平成 27 年にX株式会社の株式につき最初の贈与を受けていることから、経営贈与承継期間の末日は平成 33 年(2021年令和3年)3月 15 日(注)となり、贈与の場合であれば、平成 32 年(2020年令和2年)中までに 受けるものが「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用対象となる。 したがって、@の場合は適用対象となるが、Aについては贈与税の申告書の提出期限(平成 34 年(2022年令和4年)3月 15 日)が経営贈与承継期間の末日後となるため、適用対象とならないこととなる。
(注)
 平成 27 年中の贈与に係る贈与税の申告書の提出期限は、平成 28 年3月 15 日であり、経営贈与承継期間の 末日は、その翌日から5年を経過する日である平成 33 年(2021年令和3年)3月 15 日となる。
4 なお、一般措置の適用を受けている者は、その適用に係る会社の非上場株式等について特例措 置の適用を受けることはできないこととされているため(措置法 70 の7の5A六ト、70 の7の6 A七ホ)、甲が適用可能な制度は一般措置のみとなる(問5参照)。


 

(問 61)経過措置関係(その2):旧法猶予適用者が行う免除対象贈与
(問)甲は、平成 22 年に、父からX株式会社の株式の贈与を受け、「贈与税の納税猶予の一般措置」の適用を受けている。
 このたび、子Aに対し、当該株式を贈与し、贈与税の免除を受けたいと考えているが、この 際、Aは「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができるか。
(答)
 Aは、「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができる。
(解説)
1 問 56 のとおり、平成 30 年度税制改正による特例措置の創設に伴い、一般措置の適用を受けて いる者が免除対象贈与を行う場合、一般措置に係るものだけでなく、特例措置の適用に係る贈与 も免除対象贈与の対象とされた(措置法 70 の7N三、70 の7の2O二、70 の7の4B)。
2 この改正は、平成 30 年1月1日以後の贈与又は相続等により取得する非上場株式等に係る贈与 税又は相続税について適用されるが(平成 30 年改正法附則 118S㉒㉔)、平成 29 年 12 月 31 日以 前の贈与又は相続等により取得した非上場株式等につき一般措置の適用を受けた者についても、 適用することとされている(平成 30 年改正法附則 118㉑㉓㉕)。
3 したがって、甲は、特例措置の適用に係る免除対象贈与を行うことができ、贈与を受けたAは 「贈与税の納税猶予の特例措置」の適用を受けることができる。
 

租税特別措置法



(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除)
第70条の7 認定贈与承継会社の非上場株式等(議決権に制限のないものに限る。以下この項において同じ。)を有していた個人として政令で定める者(当該認定贈与承継会社の非上場株式等について既にこの項の規定の適用に係る贈与をしているものを除く。以下この条、第七十条の七の三及び第七十条の七の四において「贈与者」という。)が経営承継受贈者に当該認定贈与承継会社の非上場株式等の贈与(経営贈与承継期間の末日までに贈与税の申告書(相続税法第二十八条第一項の規定による期限内申告書をいう。以下この条において同じ。)の提出期限(第六十九条の八第三項の規定又は国税通則法第十条若しくは第十一条の規定により当該提出期限が延長された場合には、当該延長前の提出期限)が到来する贈与に限る。)をした場合において、当該贈与が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める贈与であるときは、当該経営承継受贈者の当該贈与の日の属する年分の贈与税で贈与税の申告書の提出により納付すべきものの額のうち、当該非上場株式等で当該贈与税の申告書にこの項の規定の適用を受けようとする旨の記載があるもの(当該贈与の時における当該認定贈与承継会社の発行済株式又は出資(議決権に制限のない株式等(株式又は出資をいう。以下この条において同じ。)に限る。第一号において同じ。)の総数又は総額の三分の二に達するまでの部分として政令で定めるものに限る。以下この条、第七十条の七の三及び第七十条の七の四において「対象受贈非上場株式等」という。)に係る納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税については、政令で定めるところにより当該年分の贈与税の申告書の提出期限までに当該納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供した場合に限り、相続税法第三十三条の規定にかかわらず、当該贈与者(対象受贈非上場株式等の全部又は一部が当該贈与者の第十五項(第三号に係る部分に限り、第七十条の七の五第十一項において準用する場合を含む。)の規定の適用に係るものである場合における当該対象受贈非上場株式等に係る納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税については、この項又は第七十条の七の五第一項の規定の適用を受けていた者として政令で定める者に当該対象受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の非上場株式等の贈与をした者。次項第六号、第三項第二号及び第十五項において同じ。)の死亡の日まで、その納税を猶予する。
一 当該贈与の直前において、当該贈与者が有していた当該認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額が、当該認定贈与承継会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の三分の二から当該経営承継受贈者が有していた当該認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額を控除した残数又は残額以上の場合 当該控除した残数又は残額以上の数又は金額に相当する非上場株式等の贈与
二 前号に掲げる場合以外の場合 当該贈与者が当該贈与の直前において有していた当該認定贈与承継会社の非上場株式等の全ての贈与
(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例)
第70条の7の5 特例認定贈与承継会社の非上場株式等(議決権に制限のないものに限る。以下この項において同じ。)を有していた個人として政令で定める者(当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等について既にこの項の規定の適用に係る贈与をしているものを除く。以下この条、第七十条の七の七及び第七十条の七の八において「特例贈与者」という。)が特例経営承継受贈者に当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等の贈与(平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間の最初のこの項の規定の適用に係る贈与及び当該贈与の日から特例経営贈与承継期間の末日までの間に贈与税の申告書(相続税法第28条第1項の規定による期限内申告書をいう。以下この条において同じ。)の提出期限(第69条の8第3項の規定又は国税通則法第10条若しくは第11条の規定により当該提出期限が延長された場合には、当該延長前の提出期限)が到来する贈与に限る。)をした場合において、当該贈与が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める贈与であるときは、当該特例経営承継受贈者の当該贈与の日の属する年分の贈与税で贈与税の申告書の提出により納付すべきものの額のうち、当該非上場株式等で当該贈与税の申告書にこの項の規定の適用を受けようとする旨の記載があるもの(以下この条、第七十条の七の七及び第七十条の七の八において「特例対象受贈非上場株式等」という。)に係る納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税については、政令で定めるところにより当該年分の贈与税の申告書の提出期限までに当該納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供した場合に限り、相続税法第33条の規定にかかわらず、当該特例贈与者(特例対象受贈非上場株式等の全部又は一部が当該特例贈与者の第70条の7第15項(第3号に係る部分に限り、第11項において準用する場合を含む。)の規定の適用に係るものである場合における当該特例対象受贈非上場株式等に係る納税猶予分の贈与税額に相当する贈与税については、この項又は同条第1項の規定の適用を受けていた者として政令で定める者に当該特例対象受贈非上場株式等に係る特例認定贈与承継会社の非上場株式等の贈与をした者。次項第7号及び第14項並びに第11項において準用する同条第15項において同じ。)の死亡の日まで、その納税を猶予する。
一 特例経営承継受贈者が一人である場合 次に掲げる贈与の場合の区分に応じそれぞれ次に定める贈与
イ 当該贈与の直前において、当該特例贈与者が有していた当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額が、当該特例認定贈与承継会社の発行済株式又は出資(議決権に制限のない株式等(株式又は出資をいう。以下この条において同じ。)に限る。次号において同じ。)の総数又は総額の3分の2から当該特例経営承継受贈者が有していた当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額を控除した残数又は残額以上の場合 当該控除した残数又は残額以上の数又は金額に相当する非上場株式等の贈与
ロ イに掲げる場合以外の場合 当該特例贈与者が当該贈与の直前において有していた当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等の全ての贈与
二 特例経営承継受贈者が2人又は3人である場合 当該贈与後におけるいずれの特例経営承継受贈者の有する当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額が当該特例認定贈与承継会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の10分の1以上となる贈与であつて、かつ、いずれの特例経営承継受贈者の有する当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額が当該特例贈与者の有する当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等の数又は金額を上回る贈与
 

▶ 事業承継税制

   個人事業承継質疑応答(抜粋)

   小規模宅地等の特例(抜粋)

 
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